5.遺言執行者


遺言の執行とは、遺言の内容を実現するために、登記の移転や物の引渡しのような行為を行うことです。遺言を執行する人は、相続人、遺言執行者です。相続人同士の利害が対立し、相続が速やかに進まないと予想される場合などは遺言執行者を決めておくことは大切なことです。

遺言執行者は、次の3つの方法で選ぶことができます。
@ 遺言で指定する
A 遺言で第三者に指定の委託をする
B 利害関係人の請求により、家庭裁判所が選任する


遺言により遺言執行者に指定された人は、その就職(遺言執行者になる)を拒むことができます。
そこで、相続人や利害関係人(受遺者等)は、遺言執行者に対して、相当期間を定めて就職を承諾するかどうかを確答すべき旨を催告することができます。その期間内に確答がなければ、就職を承諾したものとみなされます。遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちに就職したことをすべての相続人に通知し、その任務を行わなければなりません。また、遺言内容を相続人に通知する義務があります。

また、遺言執行者は相続財産の管理他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有し、 相続人は遺言執行者の執行を妨げる一切の行為をすることができません。したがって、遺言によって遺言執行者の指定がなされている場合は、遺言執行者として指定された者がその就職を承諾する前であっても、相続人がした処分行為は無効となります。

遺言執行者について
■ 欠格事由
  • 未成年者
  • 破産者
■ 辞任 正当な事由があるときに、家裁の許可を得て辞任ができます
■ 解任 利害関係人は、遺言執行者がその任務を怠った等正当な事由があるときは家庭裁判所に対して、その解任を請求できます
■ 任務
  • 就職および遺言の内容をすべての相続人に通知する義務を負う
  • 遺言執行者のみができる行為(遺贈の履行、認知と相続人の廃除・取消の手続)を行う
  • 相続財産の管理、目的物の引渡し、登記手続、預金等の名義書換、清算他
  • 遺言執行に必要な行為が妨害されているときは、その排除をする
  • 相続人に対し、遺言執行事務の報告をする



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